北国ぐらし~北国の屋根雪降ろしは命がけ

北国ぐらし備忘録

北国の屋根雪の積もり方はそれぞれに・・・

12月後半から年が明けて1月に入り急に降雪が増えた今年

東北地方ほどではないが日本海側の市町村では

一日に1メートルほども降雪があったところもあります

例年になく降雪の地域差がとても激しく

雪雲の発生する空とそうでない所の差がはっきりしています

雪が地面に積もるということは当然家々の屋根にも積もります

北国の家の屋根は積もった雪が自然と敷地内に滑り落ちるような勾配に設計された家屋や無落雪建設といって屋根の上に雪が積もっても雪下ろしをする必要のない家屋もあります

前者の屋根は充分な敷地が必要で隣家との境に雪止めという高いフェンスを作らなければならない場合があります

また屋根のトタンが雪がスルスルと滑り落ちる為には何年かごとに屋根の手入れが必要です

敷地内に雪が滑り落ちるといっても暖気の日などの事故もあり得ますので注意が必要な屋根です

後者の無落雪の屋根は平たんな屋根で中央に向かって傾斜がついています

屋根に積もった雪が自然と溶けてその水がダクトいう排水管を通って地下へと流れていく仕組みになっています

風の向きによって雪庇ができてしまい屋根に雪止めが設置されていればよいのですが雪庇が落ちて思わぬ事故を招いたりします

どちらかと言えば、近年は北国の住宅建築は無落雪の形式が多いように見えます

我が家は後者の無落雪の屋根だけど風の吹く向きで雪庇が片側の屋根にたまります

それが毎年の悩みの種

その雪庇がちょうど玄関に向かう外階段の上にできるのだから・・・危なくてしょうがないのです

真冬でも暖気の日といって気温がマイナスから一転してプラスに転じる日があります

するとその屋根に出来た雪庇がズズッと屋根から乗り出して来ます

いつ雪崩のように落ちて来るかと気が気でなくなります

上を向いて歩こうじゃない…上を向いて階段を上るのです

来客に危害を与えそうで怖いときはコーンを置いてロープを張らなくてはならないことになります

屋根雪降ろしは危険がいっぱい

そこまでになると夫が休日に屋根にのぼることになります

二階のベランダから繋がる非常はしごをつたって屋根へと

高所恐怖症の私は地面で声を張り上げます

『だいじょうぶ~っ!』『落ちないでよっ!』

そんな叫び声を無視して屋根の上でザクッザクッとスコップの音

とたんに雪と氷の塊が地面に落下してきます

みるみる間に足元に雪が山ほど埋まっていくと

今度はその落とした屋根雪の後始末の除雪が一苦労なのです

屋根の上で降り積もった雪なので固くしまって重いのです

夫と二人で山のようなその雪を庭の端まで移動して積み上げるのも大変です

きっと明日は二人とも腰が痛いとか腕がだるいとか言ってるだろうなあ

でも途中で止める訳にはいかないしなあなどと心の中で呟きながら黙々と雪を片付けます

北国の暮らしにはつきまとう苦労です

これを始末しなければ安心して枕を高くして眠ることができません

運よく今まで30年近く屋根雪降ろしで我が家は事故に遭ったことはありませんが

毎年必ず北国のニュースに事故の記事が載ります

何年か前には我が家から4、5軒先のお宅で高齢の奥さんがご主人が留守の間に軒下に埋まっておられ帰宅したご主人に見つけられるまでわからなかった事故がありました

去年は雪降ろし専門の業者であったにも拘わらずお寺の屋根から落ちて事故にあった記事

今年も90歳のご高齢の女性が雪降ろしの事故にあった記事など

不幸な事故が続きます

あんなに重たい屋根雪だもの新雪のふわっとした雪ならいざ知らず、いきなりドサッと自分の上にのしかかってきたら逃げる術などありません

空から降りてくる雪はふわふわと綿菓子のように真っ白で美しく思えますが時として残酷な悪魔のような存在になることもあるということです

雪を甘く見ないでください・・・

ある大学の教授がテレビの取材に応じていました

建築設計上は屋根に雪が1メートル4、50センチ積もるまで雪降ろしをする必要はないそうです

北国の住宅は雪の重みで簡単ににつぶれない構造になっていると言われてました

(尤も、老朽化した家屋などでは話が別になると思いますが)

それを考えると屋根雪を目の敵のように思うこともないのかもしれません

危険を冒してまで屋根に上ることもないのです

今日、裏の空き家に業者さんが入って屋根雪降ろしをしていました

腰にがっちりしたベルトを巻いて金具をつけたそれに太いロープが繋がってました

あれが命綱というのだわと思って見ていると屋根の反対側にそのロープをしっかりくくりつけて大人数で屋根雪降ろしに取り組んでいました

屋根に上がってみると意外と足元のどこまで屋根があるのか雪でわからないそうです

スコップを刺して屋根の先端を確かめてみないとさすがにプロでも怖いといいます

やっぱりプロの仕事は手際が良くて見る見る間に屋根雪は無くなって大きなダンプカーにバケット車で雪を乗せると素早く現場を片付けていなくなりました

次のお宅に向かったのでしょうね (スーパーマンのようでした~)

素人が屋根雪降ろしをする時には最低限の条件としては命綱ですね

それと一人では絶対にしないことです

ホントはしないに越したことがないのが一番ですね